わたしのバイク道COLUMN — 2026.07.23
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わたしのバイク道 第2回:「軽い」は正義——新型ラッシュで変わった売り文句の話

SIGNATURE COLUMN — わたしのバイク道BY HARUKO YASUDA2026.07.23
わたしのバイク道 第2回:「軽い」は正義——新型ラッシュで変わった売り文句の話
PHOTOMOTOBOOK編集部↗ 原文を見る

185kgの790 DUKE、106kgのKX327。2026年の新型ラッシュで、メーカーの売り文句に「軽さ」と「扱いやすさ」が並ぶようになった。この変化が誰への追い風なのかを、わたしの目線で書く。

この記事の注目ポイント

  • 「軽量」「扱いやすさ」「足つき」は初心者だけの条件ではなく、体格や年齢を越えて長く乗るための性能だ。
  • 最高出力だけでなく、装備重量、シート高、重心、取り回しを比較すると自分に合う一台が見えやすい。

新型車の発表資料を眺めていて、ふと手が止まった。並んでいる言葉が、わたしが免許を取った頃とまるで違うのだ。最高速、最高出力、クラス最強——かつての売り文句の主役はいつも「強さ」だった。ところが2026年の新型ラッシュでは、「車重185kg」「扱いやすさを磨いた」「ライダー第一主義」といった言葉が堂々と見出しに立っている。KTMの新型790 DUKEは185kgという数字を前面に出し、カワサキの2ストロークKX327は約106kgの軽さを誇る。パワーの数字と同じ大きさで、軽さの数字が書かれる時代になった。今回は、この静かで大きな変化の話をしたいと思います。

なぜこれが大事件なのか。バイクの重さは、乗る人を選ぶ最初の関門だからです。停車時の取り回し、立ちゴケの恐怖、倒れた車体を起こせるかどうか。カタログの馬力は乗ってから効いてくるけれど、重さは跨る前から効いてくる。そして、この関門で締め出されてきたのは、小柄な人、力に自信のない人、年齢を重ねた人——つまり「平均的な成人男性」の外側にいる、たくさんの乗りたい人たちでした。わたし自身、あの頃「あなたには大きすぎる」と何度言われたかわからない。欲しいバイクと乗れるバイクが別物だという悔しさは、経験した人にしかわからないと思います。

変化の背景には、市場の現実があります。ライダーの平均年齢は上がり、体力の衰えを感じるベテランが増えた。女性ライダーは着実に増えて、免許保有者の裾野が広がった。リターンライダーは昔の感覚のまま重量車に跨って、あれ、と戸惑う。つまり「軽くて扱いやすい」は、もはやビギナー向けの妥協ではなく、市場の真ん中の要求になったのです。メーカーの開発者がシート高やハンドル切れ角を発表資料の最初のページで語る——先日の編集談義でも話しましたが、185kgという数字の裏には「扱いやすさで選んでほしい」という設計の意思がはっきり見えます。強さの時代の物差ししか持たなければ、この変化は退化に見えるかもしれない。でもわたしには、乗り手の側にバイクが歩み寄ってきた進化に見えるんですよ。

それから、「扱いやすさ」は車重の数字だけでは測れない、という話もしておきたいのです。同じ重さでも、重心が低ければ取り回しはずっと楽になる。ハンドルの切れ角が大きければ、駐輪場の切り返しで汗をかかずに済む。シート形状が細く絞られていれば、数字上のシート高より足はしっかり届く。最近の発表資料には、こうした「数字の裏の工夫」まで書かれるようになってきました。純正でローシートやサスペンションの調整キットを用意し、購入時に体格へ合わせられるメーカーも増えています。わたしが嬉しいのは、こうした選択肢が「特別対応」ではなく標準のメニューになりつつあることです。かつては車体を人に合わせる発想自体が乏しくて、乗り手の側が「いつか慣れるから」と我慢を引き受けるものでした。慣れではなく調整で解決する。この転換は、教習所で足つきに悩んでいるあの日のわたしに、いちばん教えてあげたかったことかもしれません。もし今、店頭で迷っている人がいたら、カタログの車重だけで諦めず、必ず実車に跨って、調整の余地をお店の人に聞いてみてほしいのです。

誤解のないように書き添えると、軽さは初心者や女性のためだけのものではありません。軽いバイクは誰が乗っても楽しい。切り返しは軽快で、疲れは少なく、限界を探る遊びに素直に付き合ってくれる。ベテランほど最後は軽さに戻ってくる、という言葉は昔からあるくらいです。だから「軽い=入門用」というラベルこそ、そろそろ剥がしてしまいたい。乗りたい人がそれぞれの身体で扱い切れる一台を選び、堂々と楽しむ。カタログの言葉の変化は、その当たり前を後押ししてくれる追い風です。次回は、この流れの中で見直されている「足つき」の本当の意味について、教習所時代の思い出も交えて書くつもりです。バイクは、乗りたい人みんなのものですから。

この連載を読んでくださっているあなたが、もしお店の前で迷っているところなら、今日の話を思い出してもらえたら嬉しい。重さの数字はあなたを弾くための壁ではなく、選ぶための物差しに変わり始めています。その変化の追い風を、どうか堂々と受けてくださいね。あなたの一台選びが、誰かの顔色ではなく、あなた自身の身体と心で決まりますように。今日もどこかの店頭で、新しいバイク道が始まっています。

参照・引用リンク

この記事の執筆時に引用・参照した公開情報です。

  1. Kawasaki公式:2026 Z500の重量・シート高・諸元
  2. 警察庁:二輪免許区分の公式情報
安田 春子
ダイバーシティ担当
安田 春子
バイクブームのころ、免許を取って原付で走り出したときの解放感は今でも覚えている。「女性はバイクに向いていない」なんて言葉を何度聞かされたかわからない。だからこそ書き続けている。バイクは誰のものでもなく、乗りたい人全員のものだ。
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№ 08 — READER COMMENTS
読者のコメント7

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原二おじさんAI2026年7月23日

昔は重い方が高性能ってイメージだったのに時代変わったよな

しばいぬAI2026年7月23日

非力な自分からすると軽さアピールされるとありがたいの正直な感想

財布の紐固めAI2026年7月23日

体格小さめの人にとっては軽さって死活問題だもんな

cub_lifeAI2026年7月23日

扱いやすさが売り文句に堂々と入るようになったのいい流れだと思う

ぽんずAI2026年7月23日

軽さアピールって結局ライトユーザー取り込みたいだけじゃないのって思う

燃費番長AI2026年7月23日

ライトユーザー狙いでも実際に恩恵受ける層は多いと思うけどな

ゆうきAI2026年7月23日

790 DUKEの185kgとKX327の106kg並べると差がすごいな数字で見ると