ギア・ラボ 第3回:AAAという等級と、48サイズという親切——ラベルの数字の読み方
249ドルのAAAパンツ、403ユーロのAAジャケット、1,500g未満のカーボンヘルメット。8月第1週のギアはラベルの数字が前に出た。等級とサイズ表、どちらを先に見るべきかという話です。
この記事の注目ポイント
- Old Soul MotoのAAAアーマードパンツ(249ドル)はEN17092-2:2020のクラスAAAと膝・腰のCEレベル2アーマーを備えるが、アーマーが100%ポリウレタンで通気孔を持たず、32℃超で熱疹が出たとレビューで指摘された。
- サイズ思想は3社で大きく違う。Old Soul Motoは28×28〜52×38の48サイズ、BMWグランドンAIRはメンズ46〜60/レディース34〜48の別体系、カワサキのライディングトラックジャケットはS〜3Lのユニセックス5サイズ。
- 2026年6月の2りんかん・ナップスのグローブ実売ランキングは両店ともメッシュタイプが上位を占め、2りんかん1位はMOTORHEADプロテクションメッシュ、ナップス1位はMADMAX GST09だった。
前回は半年使ったヘルメットの「枯れ方」の話をしました。今回は逆側、買う前の話です。8月最初の1週間に出てきたギアのニュースを並べていて、気づいたことがある。ラベルに載る数字が、急に前へ出てきたんですよね。米Old Soul Motoのアーマードパンツは249ドルで「CEクラスAAA(EN17092-2:2020)」を名乗り、BMWモトラッドの夏用ジャケット「グランドンAIR」は403ユーロで「クラスAA」。カワサキがカワサキプラザ限定で出したライディングトラックジャケットは33,000円で、肩・肘にCEレベル1のプロテクターが入る。数字が並ぶのは良いことです。ただ、読み方を間違えると高い買い物になる。
まず等級のほう。EN17092のAAA/AA/A/Bは、生地の耐摩耗・引裂・縫製強度などを試験したクラス分けで、AAAが最上位にあたります。注意してほしいのは、最上位が最適とは限らないということ。Old Soul Motoのパンツは綿・ライクラの外殻、全面デュポン・ケブラーの中間層、メッシュの内張りという3層でAAAを取り、膝と腰にはCEレベル2のアーマーが入る。堅い。ただレビュアーは、そのアーマーが100%ポリウレタンで通気孔を持たず、気温32℃を超える環境では腰の両側に5×10cmほどの熱疹ができたと書いています。最終的に通気のある社外アーマーへ交換した、と。設計はカナダ・オンタリオ州ウォータールー。事実はここまでです。ここからはアキラの意見。等級は「転んだ1回」を測る指標で、「乗っている何時間」は測らない。この2つは別の軸なんだ。
もうひとつの数字、サイズ表。今回いちばん驚いたのは、実はこっちでした。Old Soul Motoは28×28から52×38まで48サイズ、ウエストごとに股下6種類を用意している。等級よりこの親切のほうが珍しい。対してグランドンAIRはメンズ46〜60、レディース34〜48という別々の番号体系。カワサキはS/M/L/LL/3Lのユニセックス5サイズ。3社で思想がまるで違うんですよね。番号体系が男女で分かれていると、同じ胸囲の人間が棚を横断して試着できない。「向こうの棚も見せてください」と客に言わせる設計になってしまう。ギアに性別は関係ない。フィットするかどうかだけ。だから公表してほしいのは性別欄ではなく、肩幅・袖丈・胸囲・股下の実数です。
三つめの数字、重量も今週まとめて出てきました。トゥラテックの「アヴェントゥーロ・グラベル・カーボン」は炭素繊維60%超のシェルで、バイザーとピーク込み1,500g未満、ECE22.06とDOTの両方に適合。OGK Kabutoが9月に数量限定で出す「GEOSYS-R」はカーボン帽体で9万3,500円、XS〜XLでJIS適合。一方、セナ初のアドベンチャー用スマートヘルメット「Outlander」は599ドルで、Mサイズ約1.7kg。通信機能を内蔵すると200g以上重くなる、という現実がここに出ている。ここでもアキラの物差しは同じです。200gはカタログ上は軽い差だけれど、首にとっては、前回書いた「半年後の内装のヘタり」と同じ方向に働く重さなんですよね。数字は自分の身体の記録と並べて、はじめて意味を持つ。
そして日本の買い手は、この2つの軸をもう自分で天秤にかけている。2りんかんとナップスの2026年6月グローブ実売ランキングでは、2りんかんの1位がMOTORHEADのプロテクションメッシュグローブ、ナップスの1位がMADMAX GST09。KOMINEのGK-261やGK-1853、FURYGANのJET NEON D3Oも両店で上位に入り、結果として両店ともメッシュタイプが上位を占めました。等級表示を前面に出した製品が売れたわけではない。ここもアキラの見立てですが、これは安全を軽く見ているのではなく、「6月の日本で実際に着られる等級」を選んでいるだけだと思う。着ないギアの等級は0なんだ。
だから買う前の手順を提案します。まず自分のウエスト・股下・肩幅・胸囲を測って紙に書く。次に等級より先にサイズ表を見て、自分の実数がその表に含まれているかを確認する。含まれていなければ、AAAでも候補から外していい。三番目に、アーマーに通気孔があるか、社外品に交換できる形状かを見る。最後に、店で15分は着たまま歩いてほしい。長時間着けてわかることが、ラベルには書いていないんですよね。ラベルの数字は買う理由ではなく、絞り込むための道具です。そこまでやって残った一着が、あなたにとっての正解。
参照・引用リンク
この記事の執筆時に引用・参照した公開情報です。
- Ultimate Motorcycling:Old Soul Moto AAA Armored Motorcycle Pants Review
- MotoJornal:BMW Motorrad Glandon AIR(AA認証の夏用ジャケット・403ユーロ)
- モトメガネ:カワサキ ライディングトラックジャケット(33,000円・CEレベル1)
- モトメガネ:2026年6月 バイク用グローブ売れ筋TOP10(2りんかん/ナップス)
- Motorcycle Sports:Touratech Aventuro Gravel Carbon(1,500g未満・ECE22.06)
- ForR:OGK Kabuto GEOSYS-R(カーボン帽体・9万3,500円・9月発売)
- Ultimate Motorcycling:Sena Outlander(599ドル・Mサイズ約1.7kg)



