アメリカン・ロード 第4回:在庫を17%削ったら、売れた——Q2の答え合わせ
ハーレーの2026年Q2は北米小売が3%増の29,751台。売上6%減・営業利益32%減なのに店頭は伸びた。答えはディーラー在庫17%減にある。前回のDeadwood2000ドル安の答え合わせをする。
この記事の注目ポイント
- ハーレーダビッドソンの2026年第2四半期は、北米小売が前年同期比3%増の29,751台、世界小売が1%増の42,500台。一方で売上は12億3000万ドルで6%減、営業利益は7600万ドルで32%減だった。
- 店頭が伸びた理由はディーラー在庫の圧縮にある。世界のディーラー在庫は前年同期末比17%減(北米15%減・北米外24%減)で、四半期末在庫の85%超が2026年モデルになった。同社は国内ディーラーの収益性が2026年に倍増する見込みだとしている。
- 関税は第1四半期に4500万ドル、通年で7500万〜9000万ドルを見込む。第2四半期の2200万ドルは2000万ドルの回収でほぼ相殺された。通年見通しは小売13万3500〜13万8500台、HDMC営業利益1000万〜5000万ドルへ引き上げられた。
前回、ハーレーのDeadwoodが2000ドル安い理由を書いた。装備を足すのをやめた一台だ、という話さ。あれが正しかったのかどうか、四半期の数字が出たから答え合わせをするぜ。2026年第2四半期、ハーレーの北米小売は前年同期比3%増の29,751台。世界では1%増の42,500台だった。数字だけ見れば派手じゃない。だが、ここ数年ずっと右肩下がりだった会社の店頭が、前年より多く売れたという事実は小さくないんだよ。オレが見たいのは、その増分がどこから来たかだ。値引きで作った数字なのか、それとも売り方の構造が変わったのか。四半期の資料は、その答えをわりとはっきり書いていたぜ。
面白いのはここからだ。同じ四半期、売上は12億3000万ドルで6%減、営業利益は7600万ドルで32%減。売上も利益も落ちているのに、店頭では前年より多く売れている。答えは在庫にある。世界のディーラー在庫は前年同期末比で17%減、北米が15%減、北米以外は24%減だ。四半期末の在庫のうち85%超が2026年モデルになった。工場からディーラーへ押し込む台数を絞れば、卸売の売上は当然落ちる。その代わり、ディーラーの店先から二年落ちの「新車」が消える。オークランドじゃ、少し前まで同じ型の新車に店ごとで数千ドルの開きがあった。あれは魅力的な値引きに見えて、実際は在庫が多すぎたことの証明でしかない。会社は国内ディーラーの収益性が2026年に倍増する見込みだと言っている。オレの見方では、これは売り方を変えた話じゃなく、卸し方を変えた話さ。もう一つ数字を足しておくぜ。HDMC——二輪部門そのものの売上は8億4800万ドルで、前年比9%増えている。全社売上が6%減ったのは金融部門を含めた他の要素が効いているからで、バイクを売る商売自体は伸びたんだ。ここを混ぜて「減収だから駄目だ」と片づけると、話を取り違える。在庫を17%削るというのは、要するに工場を止めるということでもある。実際、通年の卸売見通しは小売と同じ13万3500〜13万8500台に置かれた。出す分しか作らない、作った分しか出さない。当たり前に聞こえるだろ。だが、この十年のハーレーはそれができていなかったんだよ。
もうひとつ、避けて通れないのが関税だ。第1四半期に4500万ドル、通年では7500万〜9000万ドルを見込んでいる。第2四半期は2200万ドルの関税費用が出たが、2000万ドルの回収でほぼ相殺された。ここは戦略というより巡り合わせの部分もあるから、来期も同じようにいくとは限らないだろ。それでも会社は通年の見通しを引き上げた。世界の小売台数を13万3500〜13万8500台へ、HDMC部門の営業利益を1000万〜5000万ドルへ。前の見通しがマイナス4000万〜プラス1000万ドルだったから、赤字圏から黒字圏へ引き上げたことになる。CEOのアーティ・スターズは、Back to the Bricksの戦略施策で有意義な前進を果たしたと言っている。事実として在庫と小売は良くなった。ただし営業利益32%減という現実も同時に残っている。オレの意見を言えば、これは復活じゃない。散らかった部屋の掃除が、ようやく終わった段階なんだよ。
で、Deadwoodに戻る。Back to the Bricksが掲げているのは「blank canvas」——白いキャンバスとしてのバイクだ。あれは装備を削ったんじゃない、余白を売ったんだよ。向こうのシーンだと、買った翌週にはバーとシートとマフラーが変わっているのが普通で、工場で付けた一式はその日のうちに箱へ戻される。だったら最初から付けないほうが、メーカーにも客にも安い。ハーレーだけじゃないぜ。CFMotoのIbex 950が112馬力・1万2499ドルで北米に入ってきた今、値札そのものの説得力は前より重くなっている。日本の読者にひとつ言っておくと、北米のディーラー在庫が正常化するということは、そこから流れてくる新古車や中古の玉が減るということだ。この二年、北米の過剰在庫は太平洋を渡って日本の中古相場を静かに押し下げていた。逆輸入の相場は、たぶんこれから締まる。買うつもりがあるなら、時計は動いてると思っておけ。次の四半期でオレが見るのは、値上げに頼らずに利益率を戻せるかどうか、その一点だぜ。関税の回収がなくても黒字の見通しを守れたなら、そのときは掃除じゃなく、本物の前進と呼んでいい。
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