スクーター一筋COLUMN — 2026.08.18
スクーター中国・東アジア

スクーター一筋 第4回:可変バルブが150ccに降りてきた——で、メットインはありますか?

SIGNATURE COLUMN — スクーター一筋BY BRIAN KOU2026.08.18
スクーター一筋 第4回:可変バルブが150ccに降りてきた——で、メットインはありますか?
PHOTOMOTOBOOK編集部↗ 原文を見る

豪爵UFR150に4バルブVVL版が登場。11.5kWへの0.9kWの上積みと引き換えに、シート下の開口は狭くなった。スクーターの進化は床下の面積配分の歴史なんだよな。

この記事の注目ポイント

  • 豪爵UFR150 4 Valves VVLは149cc水冷単気筒で11.5kW/8,800rpm・14.7N·m/6,000rpm。2バルブの従来型(10.6kW・14.4N·m)から0.9kWの上積みで、価格は16,680元から(キャリア付きは17,380元)。
  • VVLは電磁直駆でバルブのリフト量を切り替える方式で、「低速は2バルブ、高速で4バルブ」という説明は不正確。4バルブは常に4バルブで、変わるのは開く量のほうだ。
  • シート下収納は同社UHR150の32Lに対し、UFR150は吸気を高い位置に通した設計で開口が狭く、3/4ヘルメットか小さめのフルフェイスまで。動力性能の代償が積載に出ている。

前回はKonarcの電動スクーターが、バッテリーを床下に敷いてメットインを守った話を書いた。今度は内燃機の側で、同じ場所の取り合いが起きている。中国の豪爵(ハオジュエ)が、UFR150に4バルブのVVL版を出したんだ。7月15日に発売で、価格は扶手版が16,680元、キャリア付きの箱杠版が17,380元。150ccの通勤スクーターに可変バルブが載る時代になったんだな。僕が高校の先輩からJOG ZRを譲り受けた頃、可変バルブなんて雲の上の技術だったんだよ。

まず数字を並べる。149ccの水冷単気筒で、最高出力11.5kW(約15.6馬力)を8,800rpm、最大トルク14.7N·mを6,000rpmで出す。圧縮比は11.7。従来のUFR150は2バルブで10.6kW・14.4N·mだったから、上乗せは0.9kWと0.3N·mだ。VVLの中身は電磁直駆でバルブのリフト量を切り替える方式で、低回転では小さく開けて流速を稼ぎ、高回転では大きく開けて吸気量を取りにいく。ここは誤解が多いところで、中国のメディア自身が指摘している——「低速は2バルブ、高速で4バルブ」という説明は正確じゃない。4バルブは常に4バルブで、変わるのは開く量のほうだ。

僕が面白いと思ったのは、上乗せが0.9kWしかないのに、わざわざ電磁式の機構を積んできたことなんだよな。これは速さを売る商品じゃない。豪爵によればUHR/UFRの2バルブ系にはすでに40万人以上が乗っていて、その巨大な土台の上に「うちが中国のスクーターで最初にVVLを量産した」という一行を置きにきたわけだ。同じ発表では、後ろのサスペンションも多段減衰式に変えて、エアサスより安定して維持費も安いと謳っている。派手な最高速の話より、こういう地味な置き換えのほうが通勤スクーターには効くんだ。装備表で勝つ、という戦い方だな。

で、メットインはありますか? 僕が新型を見るとき、最初に訊くのはこれなんだ。同じ豪爵のUHR150は座桶が32Lあって、フルフェイスがちゃんと収まる。ところがUFR150は、エンジンの吸気を高い位置に持ち上げた設計のせいでシート下の開口が削られていて、入るのは3/4ヘルメットか小さめのフルフェイスまで、というのが中国メディアの実測評だ。骨格は同じプラットフォームなのに、吸気に手を入れると床下が痩せる。エンジンを賢くする代償を、荷物の置き場が払っているわけだな。

正直に言うと、僕は0.9kWのために座桶は削らない。最高速が106km/hから111km/hに上がると言われても、僕はゆっくり行くよ。連休にキャンプ道具を積んで走る人間にとって、床下の1リットルは5km/hより重いんだ。実際、この系統の数字で僕が見ているのはそっちのほうでね。従来型UFR150は車重145kg、シート高760mm、前後14インチ、ホイールベース1,315mm。燃費は中国での測定で100kmあたり2.2Lというから、単純に割れば45km/L前後だ。信号だらけの街と、荷物を積んだ峠道の両方を1タンクでどこまで行けるか——8,800rpmで何kWという数字より、僕にはこっちのほうがずっと現実的な話なんだよ。ただ、この車を否定する気にもならない。16,680元の通勤スクーターに、TFTメーターと携帯の画面投影、NFCキーレス、18Wの充電口、電熱グリップの受け口、ボッシュのABSとTCSまで乗ってくる。アジアの通勤スクーターは、この数年で装備の下限が確実に上がった。UHR/UFRの2バルブ系には40万人以上が乗ってきたという。その土台の上でこれをやるんだから、次の世代の「普通」がまた一段上がるってことだろ。

結局のところ、スクーターの進化っていうのは床下の面積配分の歴史なんだよな。電動化でバッテリーが床下を欲しがるのも、VVLで吸気が床下を欲しがるのも、乗る側から見れば同じ話だ。電動が来るのは寂しくもあり楽しみでもあるけど、どっちに転んでも取り合いになる場所は変わらない。前回のKonarcは、バッテリーを薄く敷いてメットインを守るという答えを出した。今回の豪爵は、吸気を上に通して床下を少しだけ諦めた。どちらも正解のうちなんだけど、何を諦めたのかは、たいていカタログの外側にしか書いていないんだよな。だから僕は、次に誰かが「進化した」と言ったとき、また同じことを訊く。で、メットインはありますか? そこにちゃんと答えられるスクーターが、いちばん長く街を走るんだ。

参照・引用リンク

この記事の執筆時に引用・参照した公開情報です。

  1. IT之家:豪爵推出新款 UFR150 4 Valves VVL 踏板摩托车,16680 元起
  2. 搜狐汽车:16680起!不止于VVL!豪爵UFR150 4 Valves VVL正式上市!
  3. 网易:豪爵UFR150 4 Valves VVL官宣发布(VVLの作動と「低速二気門」説明への指摘)
  4. 汽车之家 车家号:豪爵UHR150对比UFR150(座桶32Lと収納の差、最高速106/111km/h)
  5. 腾讯新闻:豪爵UFR150首测(従来型2バルブの10.6kW・14.4N·m)
黄 孟紀
スクーター・エディター
黄 孟紀
高校の先輩から譲り受けたJOG ZRに乗った瞬間、「楽ちん、便利、速い!」に完全にやられた。それ以来ずっとスクーター一筋だ。大型二輪の免許は持ってるけど、所有してるのは全部スクーター。連休には小排気量のスクーターでキャンプやツーリングに出る。スクーターで行けない場所なんてない、そう思ってる。ただ、電動化がどんどん進んでいくのには、正直複雑な気持ちもあるんだよな。
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