スクーター一筋COLUMN — 2026.08.09
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スクーター一筋 第3回:バッテリーは床下へ——Konarcが守ろうとしたメットイン

SIGNATURE COLUMN — スクーター一筋BY BRIAN KOU2026.08.09
スクーター一筋 第3回:バッテリーは床下へ——Konarcが守ろうとしたメットイン
PHOTOMOTOBOOK編集部↗ 原文を見る

シート下を電池で埋めた瞬間、スクーターはスクーターでなくなる。8月29日にデビューするAther Konarcは、バッテリーを床下に寝かせて「メットイン」を守りにきた一台なんだ。

この記事の注目ポイント

  • Ather Konarcは2026年8月29日のAther Community Day 2026でデビュー予定。新しいEL-01プラットフォーム初の量産車で、同アーキテクチャは2kWh〜5kWhのバッテリーを搭載でき、価格は10万〜12万5000ルピー(エクスショールーム)と見られている。
  • Konarcはバッテリーをフロアボード下に寝かせ、モーターをスイングアームに搭載する構成と報じられている。この配置によりシート下にハーフヘルメット2個分の収納を確保できる見込みで、ホイールは前14インチ・後12インチ。
  • 競合はBajaj Chetak・TVS iQube・Ampere Nexus・Hero Vida VX2。初期費用を下げるBaaS(バッテリーを月額で借りる方式)の導入も検討されていると報じられており、性能より積載と価格を優先した「家族の足」向けの設計思想が読み取れる。

前回、125ccのスクーターでキャンプに行く荷造りの話を書いた。シート下は宇宙だ、と。あれを書いてから、ずっと頭から離れないことがあるんだ。電動になったら、あの宇宙はどこへ行くんだ、という話だよ。電動スクーターの多くは、バッテリーをシートの下に積む。当たり前だよな、あそこが一番大きくて平らな空間なんだから。でも、あそこを電池で埋めた瞬間、スクーターはスクーターじゃなくなる、と僕はずっと思ってきた。荷物が積めない乗り物を、僕は「足」とは呼べないんだ。僕は大型二輪の免許を持っているけど、所有しているのは全部スクーターだ。理由は単純で、荷物が載るからだよ。買い物袋、雨具、明日返す本——載らない乗り物には、生活が乗らないんだ。

で、8月29日だ。インドのAther Energyが、Ather Community Day 2026で新型スクーター「Konarc」を出す。同社の新しいEL-01プラットフォームを使う最初の量産車で、このアーキテクチャは2kWhから5kWhまでのバッテリーを積めるという。価格は10万〜12万5000ルピー(エクスショールーム)と見られていて、初期費用を下げるためにBaaS——バッテリーを買わずに月額で借りる方式——を用意する可能性も報じられている。ホイールは前14インチ、後12インチのアロイ。7インチのTFTメーターにスマホ連携も付く。競合はバジャジのChetak、TVS iQube、Ampere Nexus、Hero Vida VX2あたりだ。要するに、尖ったスポーツEVじゃなくて、はっきり「家族の足」を狙った一台なんだよな。インドの二輪市場でスクーターがどれだけ大きいかは、この競合の顔ぶれを見れば分かる。Chetakはバジャジ、iQubeはTVS、Vidaはヒーロー——老舗の二輪メーカーが全部この土俵に上がってきているということだ。Atherはそこへ、専業スタートアップとして「手の届くほう」の一台を置きにきた。

で、メットインはありますか?——僕がいつも聞くやつだ。報じられているところでは、Konarcはバッテリーをフロアボード、つまり足を置く床の下に寝かせている。だからシート下が空いて、ハーフヘルメットが2つ入るくらいの容量が確保できる見込みだという。モーターもホイールの中ではなくスイングアームに載る形で、450Xシリーズのものをベースにしつつ、加速よりも街中の扱いやすさへ振り直したと見られている。ここからは僕の意見だ。この配置は、スペック表のどの数字よりも大きい話だと思う。電池を床下に寝かせるというのは、「航続を1kmでも伸ばす」より「買い物袋とヘルメットが入る」を上に置いた、ということだからだ。インドの家族が毎朝そのスクーターで何を運んでいるかを見ていないと、この順番は選べないんだよ。前回書いたとおり、125ccのシート下にはテントとシュラフが入る。ハーフヘルメット2個分というのは、それよりは小さい。でも「電動なのに入る」と「ガソリンより広い」は別の話で、僕がいま評価しているのは前者のほうだ。それに、床下に電池を置けば重心も下がる。押して取り回すとき、信号待ちで足を着くとき、後ろに人を乗せるとき——効いてくるのは全部そういう場面で、最高速の話じゃないんだよな。

正直に言うと、寂しさもある。僕が連休に持ち出すのは、今もガソリンの小排気量スクーターだ。エンジンをかけて、暖まるのを待って、ゆっくり峠に入っていく。あの時間は当分やめないだろうな。速さの話には僕はいつも「僕はゆっくり行くよ」と言うけれど、電動化の話にだけは、期待と寂しさが同じ量で来るんだ。ただ、これだけは言える。スクーターの本質は静かさでも加速でもなくて、「今日の用事が全部載るか」だ。その一点で電動が正面から答えを出しにきたのが、たぶん今年のインドなんだよ。それと、BaaSの話は最後にもう一度しておきたい。電池を買わずに月額で借りるというのは、一台を10年20年使う僕みたいな人間からすると、正直まだ気持ちが追いつかない。ただ、10万ルピーの買い物を毎朝の足として決める人にとっては、初期費用が下がることのほうが先に来るんだろうな。そこは僕の感覚を押し付けるところじゃない。8月29日、僕は発表を見る。そして実車が日本に来ることがあったら、やることはもう決まっている。またがって、まずシートを開けるんだ。それだけは、ガソリンでも電気でも変わらないだろ。

参照・引用リンク

この記事の執筆時に引用・参照した公開情報です。

  1. ZigWheels:5 Things We Know About The Upcoming Ather Konarc Electric Scooter
  2. BikeWale:Ather Konarc Electric Scooter India Launch on 29 August
黄 孟紀
スクーター・エディター
黄 孟紀
高校の先輩から譲り受けたJOG ZRに乗った瞬間、「楽ちん、便利、速い!」に完全にやられた。それ以来ずっとスクーター一筋だ。大型二輪の免許は持ってるけど、所有してるのは全部スクーター。連休には小排気量のスクーターでキャンプやツーリングに出る。スクーターで行けない場所なんてない、そう思ってる。ただ、電動化がどんどん進んでいくのには、正直複雑な気持ちもあるんだよな。
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